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工期短縮は本当にいいの?


工期短縮について

 基本的には、工期短縮は素晴らしいことだと思います。

 しかし、それは現場に携わる色々な人が知恵を出し合って、それを実現するために切磋琢磨し、ロスを除き合理化したものの結晶でなければ意味がありません。

 無理、ムラ、無駄をなくして実現したものでなければならないのです。

 突貫工事の工期短縮は、仕事の質を落とすだけですから、それこそ「欠陥住宅」への落とし穴になります。

 

何故工期短縮が難しいのか?

 その答えは、やはり様々な職人さんが工事に係るからです。

 基礎、大工、屋根、建具、電気、住宅設備機器、外壁、左官、塗装、板金、内装、水道、ガス、畳、外構等々数えたらキリがありません。

 これらの職人さん達を、順送りで入れていかなければなりません。

 又、完成に近づけば近づくほど職人さん同士がかち合ってきます。

 何人もの職人さんがかち合えばやはりいい仕事はできません。

 結構誤解をしている人が多いのですが、ハウスメーカーで働く職人さん達を、ハウスメーカーの社員と思っている方がいます。

 ハウスメーカーの社員と思えば「何故、何日も現場が空いているんだろう?何故今日はこんなに職人さんがかち合って仕事をしているんだろう?」と疑問に思ったり、腹が立ったりするわけです。

 職人さんは、自営業であったり、協力会社(下請会社)の社員だったりです。

基礎屋さんであれば、○○土建工業株式会社であったり、○○土建工業有限会社であったり、自営で○○土建工業だったりです。

屋根であれば、○○瓦工業、建具屋であれば、○○建具店といった具合に、現場で働く職人さんは、それぞれの会社から派遣されてくるわけです。

 ハウスメーカーの建物でも、現場は、ハウスメーカーの指定工務店が受け持ち、その協力業者(下請け)が現場に順送りに入ってくるわけです。(大工仕事がほとんどないハウスメーカーは、工務店を通さず入ってきます。)

 そうなんです。

 色んな職人さんたちは、工務店の社員でもないんです。

 工務店から発注を受けて、工務店の協力会社(下請会社)から派遣されてくるわけです。

 工務店から発注を受けてくるわけですから、職人さん達のボスが工務店ということになります。

 規模によって違いますが工務店には、経営者がいて、現場監督がいて、大工さん数人(常備)がいて、事務員さんがいるといった感じです。

 規模が大きくなると、設計士がいたり、営業がいるといった感じになります。

 話はそれてしまいましたが、何故現場が空いたりかち合ったりするかというと、工務店の協力業者(下請け業者)はその工務店一社専属ではないのです。

 したがって、抱えている職人さんの数にもよりますが、かなりの数の工務店から仕事をもらうわけです。

 スケジュール的には、何日は誰がどこの工務店の現場というふうにきちんと埋められているのですが、一つの工務店の現場が遅れて職人さんが入れなかった場合、他の現場に行くことになります。

 うまく他の現場に入れればいいのですが入れなければ職人を遊ばせてしまうことになります。

 職人を遊ばせてしまうと協力会社(下請会社)はお金だけ出て行くことになりますから、飛行機の予約と同じで、キャンセルを見越して多め多めに仕事を受けます。

 多め多めで受けてしまうと予定していた現場に人が送れなくなり、現場が空くことになります。

 急に職人が空いたとしても、工務店の方もすぐに代わりの職人を入れることができませんので文句を言って「すぐ入るようにしろよ。」となり、現場は空いたままです。

 こうやって何回か現場が空いてしまうと、約束していた工期に間に合わなくなり、昼夜を問わずの突貫工事に突入します。

 突貫工事となると、近隣からは苦情が出ますし、仕事は雑になったりということになりますので要注意です。

   「欠陥住宅」の可能性が出てきてしまうわけです。

 仕上の部分で突貫工事をやりますと「残工事、駄目工事の多い家」になります。

 今までは、工期がつまってくると突貫工事の怖れがあるというお話をさせていただいたのですが、お金がつまって突貫工事に突入ということもあるわけです。

 最近はローンが発達していますから自己資金が少なくて済みます。

 これはユーザーには便利なことなのですが、造り手からすれば、契約金は一割かそこらであとはローン実行時ということになります。

 工務店は、一ヶ月ごとに協力業者(下請業者)への支払いが発生してきますので、材料を買ったり、手間を払ったりの立替え払いをしなければなりません。

 大手ハウスメーカーは、ユーザーに金融機間からの「つなぎ融資」を組ませて建物の工事進行にあわせて四回ぐらいで資金回収していますが、工務店は、契約金が少しあって、あとは完成時ですからお金が忙しいのです。

 ローンは建物が完成して登記が完了しないと実行されませんから、早く完成させたい。

 そこで、着工時点から即、突貫モードに突入なんてことも考えられます。

 ですから異常に早い工期(短縮工期)は要注意となるわけです。

 大手ハウスメーカーでも、決算期(普通は3月末と9月末)には、お客様が希望していなくても、売上計上したいため、短縮工期となります。

 工期は、建物の工法、会社のキャパシティーによってバラツキがあります。

 いい家を建てるには、その建物の工法、その会社での適正工期が必要であり、これを無理に縮めて完工させるのが突貫工事です。

 今はどの会社も工期短縮に懸命です。

 名目は「お客様に一日でも早くいい家にご入居頂くために」ということですが、実態は、一日でも早く資金回収して売上を立てたいからです。

 家ができれば「建物が完成しました。お引渡ししたいので残金決済をお願いします。」ということになります。

 ユーザーの方でも「お正月は新居で迎えたいので、何とか間に合わせて。」とか「子供の学校の関係があるので何とか3月末(8月末)には引越ししたい。」とか、契約が済んでしまうと無理な要望も出てきます。

 相当厳しいと思われても、資金繰りが忙しい会社であれば、喜んで突貫工事に突入してゆきます。

 大手ハウスメーカーでも3月完成でしたら決算月ですのでこれも喜んで突貫モードです。

 突貫工事で一番怖いのは、基礎や構造体の施工を早めることです。

 雨が降っているのにコンクリート打ちをしたり、コンクリートの養生期間をカットしたり、配筋やアンカーボルト(金物)の設置が雑になったり、決してやってはいけないことをやってしまいます。

 前にも申し上げましたが、突貫工事の最後の仕上げは、何人もの職人が入り乱れての戦場となり、当然、クロス、建具、サッシ、収納家具、玄関ドアなどが傷つきやすい状態にさらされます。

 適正工期で契約して、適正工期で引渡しを受ける。これが重要です。

 適正工期より1ヶ月以上早く引渡しを受けるようなら、納得できるその理由をきちんと説明してもらうことが大切です。

 ここでもユーザーが現場に足を運ぶ意味があることをお判りいただけますね。




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